LBOとシャング・ボンド

LBOとは、自己資金を一〜二割ほどしか用意せず、買収をもくろんだ相手企業の資産やキャッシュ・フローを担保とする銀行借入れや、シャング・ボンド発行により巨額の買収資金を入手して行なう買収である。

また、相手が巨額の利益源泉をもっている場合はもちろん、相手が多額の繰越し欠損金を抱えている場合は、合併により自社の利益と合算すれば全体として相当の節税になることは買収・合併の誘因(インセンティブ)になることは当然である。

たとえばUSX(USスティールの新社名。商品多角化のため永年の著名な社名であるUSSを新CIに転換した。Xとは未知数の象徴の由である。

もっとも、USXは従来ともNYSE=ニューヨーク証券取引所のUSスティール社の株式取引略号でもあった)はテキサスーオイルーアンドーガス(TXO)やマラソン石油などの高収益法人買収により、抱えていた一九億ドルの繰越し欠損金処理とプレスティージ回復の両目的を節税とからめて達成したというのが実相である。このように節税目的の合併はさすがに米議会でも一時は合法的脱税として問題になったほどである。