LBOとシャング・ボンド

LBOとは、自己資金を一〜二割ほどしか用意せず、買収をもくろんだ相手企業の資産やキャッシュ・フローを担保とする銀行借入れや、シャング・ボンド発行により巨額の買収資金を入手して行なう買収である。また、相手が巨額の利益源泉をもっている場合はも…

人口の減少と国民の閉塞感

いまわが国は、相互に関係はあるが異質な複数の問題に同時に直面している。このような重い課題が同時に三つも重なってしまったのは、何という間の悪さか。かかる事態を回避する広い視野と果断な実行力が、わが国に欠けていたことが悔やまれる。わが国がこの…

PKIの壊滅的な打撃

軍と共産党の確執をスカルノという大きな政治的存在が「バランサー」となって、どうにか安定が保たれるというものであった。このバランスを崩すきっかけとなったのが、スカルノの病状悪化である。スカルノの影響力が薄くなるとともに、軍の勢力拡大に危機感…

キリスト教者の描いた悪魔像

12世紀には、フランスのツールーズの宮廷や、スペインのアラゴン王(1197年)、ドイツのフレデリック二世(1224年)などの為政者の手により、また教会では、法王・ルチアス三世、インノセント三世が、それぞれ異教徒を罰するおふれを出している。13世紀には…

電子機械工業全体の生産額の増加

家庭電子機器では、一九九六年にDVDが売り出されて、家庭電子機器市場がさらに膨れ上がるとも見えた。従来の光ディスクの凹凸がさらに微細に加工されて、情報の記憶容量はCDの約七倍になる。そのために音楽ホールでの演奏の臨場感を忠実に再現すること…

フィリピンの手術師

フィリピンの手術師こそはまさに現代の呪術師といえよう。また、若者たちの間では、かっこうのよいグループ・サウンズやゴーゴーダンスに熱狂する者も、LSDを飲みシンナーに酔いしれる者もすべて流行という呪術のかっこうのモルモットである。40年程前に…

ドルの覇権は限定された金供給ルートによって確立された

アメリカでは自由化推進の旗手として登場した共和党のレーガンとブッシュ両大統領だったが、大きな政府がもたらす財政赤字と、輸入超過による経常収支赤字という「双子の赤字」をもたらす結果となってしまった。1980年代前半のドル高によって海外に進出した…

労働力不足経済へ

人口構造の変化がもたらすマクロ経済的な影響の一つは、労働力への影響である。このことを、一五〜六四歳人口の推移でみてみよう。この年齢階層の人口は、「生産年齢人口」と呼ばれる(ここには女性も含まれているので、これが直ちに労働人口になるわけでは…

国民協議会本会議の席上

一方、ゴルカル側では別の動きが進行していた。夕刻のゴルカル議員団会議では、ウゴフント擁立を図るハビビ派議員の牽制を押し切る形で、アクバル副大統領擁立が決定された。その後、アクバルはギナンジャルとともに大統領官邸を訪れ、アクバル副大統領を望…

戦争への動員にいかに抗するか

武力攻撃事態法は、「有事三法案」の一つとして二〇〇三年に成立した。翌二〇〇四年、「国民保護法」「特定公共施設利用法」「米軍支援法」などからなる「有事七法」が加わった。その成立により、戦時法と自治・人権破壊法としての色彩はさらに濃厚なものと…

会社に逆らえず、引きこもってしまう活力なき若者

その結果、「生活保護よりも低い」とさえ言われる給料しかもらえないドライバーも出現する可能性が出ている。つまり、タクシー業界には人手不足になるだけの理由はあるということである。タクシー運転手の最低賃金を上げるなり、タクシー会社や経営者の収益…

国営企業の自主権の拡大

大学の重要な決定は上部機関−教育部や石油工業部や冶金工業部等々に上げられ、そこでまた各レベルの行政組織の会議の決定と党委員会の批准とがくりかえされるのである。企業の場合も同じようなものであろう。行政と経営との分離とは、このような党委員会の批…

グローバル・ナンバーワンを目指す

「空調事業のグローバル・ナンバーワンを目指す夢を皆さんと共有したい」。2006年8月、ハワイ・オアフ島に集まった、当社とOYL社グループの幹部約100人に私は熱く語りかけた。一度は白紙になりかけたギリギリの交渉の末、当社か空調機大手の米マッケ…

財務省・ウォール街複合体

アジア通貨危機のはらむ問題を、あらためてアメリカを中心とするマネー循環の回路のなかで捉えなおしてみると、皮肉なことに、日本発のマネーがアメリカを経由してアジアに環流し、通貨供給量を膨張させたあげくの「危機」であったという事実に突き当たる。…

少子化・高齢化

日本では「高齢化」と、女性が子どもを少ししか産まなくなる「少子化」とが同時並行的に進んでいる。前者は、医療制度の改善など、日本の近代化・生活水準向上の成果である。後者も、産児抑制の知識・手段に欠け、また幼児死亡率の高さゆえに歩留りを考えて…

比較優位のオンパレード

勉強の努力シロを小さくするうえでは、スポーツの成績とか、課外活動とかの勉強時間を削らないとできない活動実績を加点要素にするのもいい。とにかく東大が変わることが、これからの時代の日本の教育のあり方を変え、競争力を高め(現実にはこれ以上の弱体…

帝国主義パワーポリティックスの中の朝鮮

『閔妃暗殺、朝鮮王朝末期の国母』角田房子新潮社石器、長坂覚氏の名著『隣の国で考えたこと』(一九八〇年、日本経済新聞社)の中に、金大中事件の際、これを韓国政府による主権侵害だとする議論が日本でわきおこったのをみて、韓国のある要人が氏に「他の…

大きな内外価格差

日本の円の為替レートがアメリカのドルにくらべて二〇年そこそこのうちに三倍以上にもなったという事は本来大変喜ばしく歓迎すべき事である。なぜなら、それは日本の産業の競争力がそれだけ強化されたという事であり、また円の為替レートが高いという事はそ…

二十世紀文明に対する反省

一九九〇年八月のことですが、ローマ法王ヨハネーパウロー世から一通のお手紙をいただきました。一九九一年が、有名な回勅「レールムーノヴァルムレRerum Novarum」が出されて百周年に当たるので、新しい「レールムーノヴァルム」を出すことになっ…

金鉱山の発見と株価

マルコポーロは『東方見聞録』の中で日本を「黄金の国ジパング」と呼びました。真偽のほどは分かりませんが、中尊寺の金色堂に関する伝聞を耳にしてこう呼んだともいわれています。有史以来、人類が世界中でこれまでに掘り出した「金」の総量(地上在庫)は…

大学淘汰の時代

一九八〇年代初頭に、アメリカでも青年人口の減少と大学進学率の停滞のために学生数が減少するという予想が盛んに行なわれた。連邦政府や州政府の高等教育予算の削減によって、奨学金や研究のための資金の入手もだんだん苦しくなってきた。その結果少ながら…

大ざっぱな推計の根拠

選挙戦が展開されている五月下旬に私は、休日の暇つぶしを兼ね面白半分で、主要政党の州別得票率予測表なるものを作り、知人のジャーナリストたちに配るという「遊び」を始めた。インドネシア研究が専門といっても私は政治学者ではないし、選挙予測の手法に…

三方一両損のニ〇〇二年度改革案

保険方式で対立するのも無益なように思われます。保険は医療を財政的に支えるものだからです。かかった医療費は誰かが支払わなければなりません。医療費総額をどのように割り振るが、という問題にすぎないからです。むしろ、効率的にいかに良質な医療を提供…

高血圧症の症状と検査

血圧検診は定期検診のなかで最も広く行われています。前述のように高血圧症の頻度は年齢とともに増加します。しかし、高血圧症は通常自覚症状をともなわないので、血圧を測る以外にそれを知る方法がありません。熱があれば、体温計で測らなくてもだいたい予…

高脂血症の危険因子

中性脂肪もコレステロールと同様に食事から取り入れられるものだけではなく、肝臓でもつくられます。その大部分は筋肉や心臓でのエネルギー源として使用されます。そして余ったものか、皮下脂肪のかたちで蓄えられます。リン脂質とは、血清脂質のうちリンを…

文明批評的な方法

私がまだ論壇時評を続けていた1976年5月、既に第2章で触れた社会学者ダニエル・ベルとの対談の企画が「東京新聞」でたてられた。そして私はアメリカに渡ってベルと会うことになった。この対談を契機に私はベルの広い学識と現代社会に対する深い見通しにすっ…

同級生らに事情を聴いて

5日午後2時20分頃、京都府京田辺市の木津川で、同府井手町内の小学校3年の男児(9)がおぼれ、6日未明、川底に沈んでいるのが見つかった。男児は搬送先の市内の病院で死亡が確認された。男児と一緒にいた同級生3人が事故を目撃したが、「以前、川で…

優柔不断な男

私は、自分の周辺になくなったからといって、めったに消滅という言葉は使えないなあ、と反省した。けれども、衰微だとか激減という言葉は使える。詩吟も浪曲も講談も衰微した。激減をただちに衰微とは言えないものも、世の中にはいろいろあるのではないか、…

電子メディア肯定派

そこで早速私も、バーカーツの『グーテンベルグ挽歌−電子メディア時代の読書』とマレーの『ホロデッキ上のハムレットーサイバースペースにおける物語の未来』の原文を入手して読んでみた。まず、電子メディアに対して否定的な立場に立つバーカーツは、新しい…

インドは英国政府の直轄で運営される

インドでは、このようなアクバルービルバルのジョークがとても人気がある。ちょっと寄り道したが、息子のジャパンキールの自伝によると、アクバルの帝国では祈りの自由があった。ヒンドゥー教徒はもちろん、イスラム教徒のスンニ派とシーア派、ユダヤ教徒と…