グローバル・ナンバーワンを目指す

「空調事業のグローバル・ナンバーワンを目指す夢を皆さんと共有したい」。2006年8月、ハワイ・オアフ島に集まった、当社とOYL社グループの幹部約100人に私は熱く語りかけた。一度は白紙になりかけたギリギリの交渉の末、当社か空調機大手の米マッケイ社などを傘下に持つOYLインダストリーズ(マレーシア)の買収を決議したのはこの年の5月。両社幹部が初めて一堂に会する会合をマレーシアではなく、日本でもない第三国で開いたのは、対等の立場で夢の実現への一歩を踏み出す会合にするためだった。買収金額は2461億円。世界最大の空調市場を持つ北米を攻略し、世界首位の米キャリア社を追撃する。OYL社は北米に事業基盤があり、中国、アジア、欧州にも生産拠点を構える。大型空調機と周辺のサービス、メンテナンス、低価格の空調機などが得意分野だ。高性能の空調機に強い当社と補完関係を築き、シナジー効果を高めるには最適な相手だと言える。

私はハワイ会合でOYL社の自主性を尊重すると明言し、お互いの違いを認め合い、良さを尊重し合って飛躍しようと呼びかけた。そうすればお互いの長所を生かし、短所を補い合える。相手の話を真剣に聞く仕組み作りも提案した。グローバルな競争を勝ち抜くには異質で多彩な人材を生かす経営姿勢か大切だ。終日の会議だけではなく、3日間の日程にゴルフ、観光やパーティーも組み込んで当社の従業員が自ら手作りでもてなした。OYL社の皆さんも大いに胸襟を開き、ともにがんばる気持ちになってくれたのではないか。参加した一人ひとりが結びつき、信頼関係を醸成できたと思う。ハワイ会合に大きな驚きと感動を覚えたという手紙がその後、日本にたくさん届いた。