帰属意識が強い日本

帰属意識が強い日本では、会社や学校が面倒を見てくれるのが当たり前と思われているところがありますから、日本でやる限りは、そのへんはある程度の妥協点を見出してやるより仕方がないでしょう。いまはまだ過渡期ですから、自分でつねにバランスを考えてやっていかなければならないでしょう。

高石さんが指摘されているように、長期的なケアが必要な人を外部の機関に紹介するといっても、いまの日本には、引き受けてくれるところがそれほどありません。そういう学生を見捨てていくわけにもいかないでしょうが、かといって、そういうところまですべてを抱えこんでいたら、卒業生の面倒ばかりで、在校生を診られなくなってしまいます。

しかし、先ほどの「見捨てる」とか「冷たい」という考え方の裏返しで、卒業生の面倒まで見ているというと、学校の評判がよくなったりするから、その意味では卒業生に会うのも悪いとばかりは言えませんが。

そのあたりは、きちんとしたルールが確立しておればいいのでしょうが、それも画一的に決めることには無理があります。私が学生相談をやっていたころも、卒業後も来ていた人がいました。必要ならば、こちらの力量や容量に余裕がある限り、会うようにしていました。

そのへんは、やはり自分で考えてやるよりはかないでしょう。力のあるカウンセラーほど、卒業生もやってきますから、大学側と話しあって、卒業生からはお金を取ると決めるのも一つの方法でしょう。